ファー・ノース・クイーンズランド州におけるB型肝炎の母子感染(2013~2023年)。
DOI:10.33321/cdi.2025.49.026
アブストラクト
背景:最適な妊産婦・周産期ケアと予防接種を行えば、B型肝炎ウイルス(HBV)の周産期感染リスクはゼロに近づく。しかし、文化的・言語的に多様な人々やオーストラリアの遠隔地に住む人々にこのケアを提供することは、論理的に困難である。この研究では、ファー・ノース・クイーンズランド(FNQ)におけるB型慢性肝炎(CHB)の妊婦とその子供の管理を調査した。これにより、2017年6月に設立された現在のFNQ HBVプログラムの成功と限界を明らかにすることが期待された。
方法:2013年1月1日~2023年12月31日の調査期間中、クイーンズランド州の感染症登録簿を用いて、FNQに居住するCHBに罹患したすべての出産可能年齢(13~45歳)の女性を特定した。研究期間中にこれらの女性から生まれた子供を特定し、そのケアが現行のオーストラリアHBV管理ガイドラインに合致しているかどうかを評価した。
結果:261人の出産可能年齢の女性を同定し、調査期間中に148人が出産した:93/148人(63%)がオーストラリア先住民の母親から生まれ、58/148人(39%)が海外で生まれた母親から生まれ、46/148人(31%)が遠隔地に住む母親から生まれた。FNQ HBVプログラム設立後、71/77妊娠(92%)が最適な妊婦HBVケアを受け、71/77(92%)が最適な周産期HBVケアを受け、72/77乳児(94%)がHBVワクチン接種を完了していた。FNQ HBVプログラムの設立以来、B型肝炎表面抗原(HBsAg)陽性と確認された小児はいない。しかし、HBsAg検査を受けた子どもは70/148人(47%)に過ぎない。
結論:産前産後のケアと乳児へのワクチン接種は、現在FNQ地域では90%以上の妊娠で国のHBVガイドラインに合致している。地域のHBVプログラムが設立されて以来、母子感染は確認されていないが、この所見を立証するためには小児検査の改善が必要である。