ネパールの小児におけるRSVおよび非RSV急性呼吸器感染症の疾病コストの評価。
DOI:10.7189/jogh.15.04092
アブストラクト
背景:低・中所得国(LMICs)は、世界的な呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の罹患率と死亡率の最大の負担を負っているが、RSVの負担が家族、医療制度、社会に与える医療経済的影響を評価するためのコストデータが不足している。この前向き観察研究は、RSV GOLD III - 医療経済研究グループにより実施され、ネパールにおけるRSV罹患に関連する費用を推定した。
方法:ネパールの2つの公立病院において、1つの地域呼吸器シーズン(2023年7月~11月)にわたり、世界保健機関(WHO)の重症急性呼吸器感染症((S)ARI)症例定義を満たす2歳未満の小児の医療資源利用データを収集した。病院の記録と介護者のインタビューを用いて、直接医療費、直接非医療費、間接費のデータを収集し、患者1人当たりの総費用を算出した。
結果:平均年齢6.8ヵ月(標準偏差5.8)の患者730例を対象とした。SARIを発症した入院患者の72.6%(n/N = 469/646)でRSV感染が確認された。RSVエピソード1件あたりの平均総費用は、非重症で43USドル(95%信頼区間(CI)=25~62)、重症で312USドル(95%CI=293~332)、生命を脅かす患者で664USドル(95%CI=381~947)であった。総費用のうち、医療システムは各病気で16米ドル(36.3%)、58米ドル(18.6%)、57米ドル(8.6%)を負担した。家計レベルのコストは、非重症で1人当たり国内総生産の1.4%(19米ドル)、重症で15.1%(200米ドル)、生命を脅かされた患者で35.7%(472米ドル)であり、入院患者のコストはしばしば破滅的レベルに達した。
結論:今回の調査結果は、ネパールにおけるRSV感染症の医療的・経済的負担の大きさを示しており、RSV予防戦略を優先する必要性を強調している。我々の費用負担データは、ネパールにおける将来のRSV介入策の費用と便益のモデル化に役立つであろう。