イラク、クルディスタン地域、デュホク市におけるムコ多糖症IV型の臨床的および遺伝的スペクトル。
DOI:10.14715/cmb/2025.71.3.5
アブストラクト
ムコ多糖症IV型は、モルキオ症候群とも呼ばれ、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ(A型)またはβ-ガラクトシダーゼ(B型)の欠損によるまれな常染色体劣性遺伝性リソソーム貯蔵障害であり、骨、軟骨、眼角膜、皮膚および結合組織に障害をもたらす。本研究の目的は、特定の遺伝子変異(c.860C>T、c.421T>A、c.1196delA)とムコ多糖症IV型(MPS IV)患者における臨床症状との関係を調べることである。この研究は、イラクのクルディスタン、デュホクにあるHeevi Tertiary Hospitalで2024年9月まで実施され、MPS IVが確認された10人の患者が対象であった。人口統計、家族歴、血縁関係、骨格、知能、遺伝子変異に関するデータが収集された。その結果、診断時の平均年齢は7.94歳で、女性が多かった。血縁関係や家族歴は一般的であった。低身長、巨頭症、疲労、全身の痛み、多発性骨異形成などの様々な骨格異常がみられた。股関節形成不全は50%の患者にみられたが、知能はほとんどの患者で正常であった。最も頻度の高い遺伝子変異はc.860C>Tで、次いでc.421T>A、c.1196delAであった。生化学的および血液学的パラメータは正常範囲内であったが、成長遅滞がみられた。変異の地理的クラスター化が認められ、c.860C>Tはザクホに多く、c.1196delAはアクレに限定された。結論として、本研究は、これらの変異に伴う重篤な表現型発現を強調し、血縁関係や地域的な遺伝的素因の影響を強調している。これらの知見は、高リスク地域における的を絞った遺伝カウンセリングと集団スクリーニングプログラムの必要性を強調している。
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