定期予防接種をCOVID-19ワクチン接種に統合すると、接種率は向上するが、公平性に問題が生じる可能性がある:ナイジェリア、ニジェール州からのエビデンス。
DOI:10.1186/s12889-025-22796-z
アブストラクト
背景:定期予防接種(RI)をCOVID-19の予防接種に組み込むということは、COVID-19の予防接種を第一義とし、RIサービスを追加するということである。ナイジェリアにおけるCOVID-19の予防接種キャンペーンでは、医療従事者はCOVID-19の予防接種を受けに来た人々に麻疹やポリオなどの定期接種ワクチンも提供していた。本稿の目的は、COVID-19の予防接種にRIを組み込むことで、ワクチン接種率全体が向上するものの、公平性の問題が生じる可能性があることを示すことである。
方法:本研究で使用したデータは、ナイジェリアのニジェール州にある23の地方自治体(LGA)のCOVID-19予防接種記録(初回、2回目、ブースター)である。このプロジェクトは、COVID-19ワクチンの接種を受けていない人口の残り30%にワクチンを接種することを目的としていた。治安上の懸念から2つのLGAは除外された。COVID-19ワクチン接種と並行して実施された定期予防接種(RI)には、不活化ポリオワクチン(IPV)、経口ポリオワクチン(OPV)、5価ポリオワクチン(PENTA)、その他特定のニーズに基づいたワクチンが含まれ、主にゼロ回接種の子どもたちが対象となった。主要アウトカムは、COVID-19ワクチンを少なくとも1回接種した対象者の割合として測定されるワクチン接種率であった。副次的アウトカムには、COVID-19ワクチン接種キャンペーン中の定期予防接種の受診率や、男女間のワクチン接種率の格差を評価するためのジェンダー公平性分析が含まれた。
結果:合計436,598人がワクチン接種を受け、1日平均は3,898人であった。ワクチン接種者のうち、男性は49.78%、女性は50.22%で、接種率は101%であった。ワクチン接種者のうち、76%が1回接種、5.1%が2回目、18.3%がブースター接種を受けた。単回接種を受けた人のうち、男性49.9%、女性50.1%であった。2回目接種者では、男性47.4%、女性52.6%であった。ブースター投与群では、男性49.8%、女性50.2%であった。1回目と2回目の接種者では、男女間に有意な平均値の差は認められなかった。同様に、23のLGAで接種率にばらつきがあったにもかかわらず、目標接種率と達成率に有意な平均値の差は見られなかった。さらに、60,373件の定期予防接種がCOVID-19の接種と並行して実施された。RI分布の内訳は、17.6%がPENTA、18.3%がOPV、17.6%がIPV、46.5%がその他のワクチンを受けた。RIをCOVID-19の接種に組み込んだ場合、男女間に有意な平均値の差が観察され、男女格差があることが示唆された。
結論:COVID-19の予防接種にRIを組み入れることで、全体的な接種率は向上したが、RI接種の割合が女性に多かったことから、不公平が生じる可能性が示唆された。この所見は、男女間のワクチン接種の差を浮き彫りにしている。RI統合における性差の影響を理解し、すべての人が公平に予防接種を受けられるようにするためには、さらなる研究が必要である。
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