カメルーンにおけるHPVワクチン接種の課題克服と高い接種率の達成:ジェンダーに中立的な単回接種プログラムと地域社会の関与から学んだ教訓。
DOI:10.1186/s12889-025-22776-3
アブストラクト
はじめに:ヒトパピローマウイルス(HPV)は性感染症であり、ほとんどの性生活者が感染している。このウイルスは女性と男性に感染し、性器疣贅、子宮頸癌、中咽頭癌を引き起こす者もいる。この病気の負担は、資源に乏しい国で最も大きく、カメルーンでは癌関連死亡の主な原因となっている。HPV感染はワクチン接種で予防可能である。HPVワクチン接種の利点にもかかわらず、カメルーンでは接種率の向上は困難なままである。本稿では、カメルーンの性別にとらわれない単回接種のアプローチと定期予防接種の定期的強化(PIRI)の一環として、HPVワクチン接種における課題、学んだ教訓、進展について紹介する。
方法:2023年7月から12月にかけて実施されたこの生態学的横断研究では、カメルーンにおけるHPVワクチンの導入について、関連する課題、戦略、進捗状況とともに検討した。2020年から2023年までのワクチン接種データはカメルーンのDHIS2(District Health Information Software)から取得し、ワクチン導入過程と課題に関する情報はEPI(Expanded Programme on Immunisation)の報告書から入手した。データ分析はPythonを用いて行った。Shapiro-Wilk検定で正規性を評価し、中断時系列の枠組みで分割回帰分析を適用して、女児のHPVワクチン接種率に対する各介入の寄与を評価した。統計的有意性は95%信頼区間(CI)でp値<0.05とした。ワクチン接種率の算出と、図表による結果の可視化には、Microsoft Excel 365を使用した。
結果:カメルーンは2020年10月、否定的な噂の中で9歳女児にHPVワクチンを導入した。初回接種率は3年間20%前後で推移した。全国予防接種技術諮問委員会(National Immunization Technical Advisory Group)の勧告を受け、保健省はコミュニケーションとコミュニティへの働きかけを強化し、2023年1月に9歳男女への単回接種に切り替え、2023年3月に家庭と学校でのPIRIを実施した。すべての地域で改善がみられ、4地域(アダマワ、東部、極北、北部)では女児のカバー率が90%を超え、男児は40%前後であった。全国レベルでの女児の予防接種率は3倍改善し、男児は26%を記録した。中断された時系列データでは、70%の地域と全国で、PIRI後に女児のワクチン接種率が直ちに改善したことが明らかになった。対照的に、性差のない単回接種では、30%の地域(極北、南、南西)と全国レベルで接種率が直ちに改善したが、コミュニケーションの強化はあまり貢献しなかった。
結論:カメルーンにおけるHPVワクチン接種は大きな課題に直面している。しかし、性別にとらわれない単回接種方針の採用やPIRIの実施などの介入により、2023年以降、保健システムのさまざまなレベルで接種率が大幅に改善した。
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