ライソゾーム貯蔵障害の新生児ゲノムスクリーニングの効果:中国におけるコホート研究。
DOI:10.1186/s13073-025-01483-z
アブストラクト
背景: ライソゾーム貯蔵障害(LSD)は希少疾患の中では比較的発生率が高く、早急に治療しなければ重篤な結果を招く可能性がある。しかし、多くの国や地域では新生児スクリーニングプログラムにこれらの疾患が含まれておらず、その結果、早期発見の遅れ、過小診断、治療の遅れが生じている。新生児ゲノムスクリーニング(NBGS)は、従来の生化学的スクリーニング疾患に対しては良好なスクリーニング効果を示しているが、LSDに対する有効性は一般の新生児集団ではまだ評価されていない。
方法:LSDに対するNBGSの結果を評価するため、2022年3月18日から2023年9月21日まで、中国の南京婦女小児医療病院から募集した新生児を対象にコホート研究を実施した。参加者全員が、乾燥血液スポットによる15のLSD(18遺伝子)のNBGSを受け、その後、NBGS陽性者の酵素活性検査を行った。本研究では、NBGSによる各LSDの発症率と保因率、スクリーニング陽性率、偽陽性率、スクリーニングの陽性適中率を算出した。
結果:22,687人の新生児(男性11,996人[52.88%])のうち、1344人(6.0%)が保因者と同定され、30人(0.13%)がLSDの初期陽性であった。このうち、4人が除外され、15人が酵素欠損と遺伝パターンに適合した病原性変異体に基づいてLSD未発症者と診断され、11人が現在も追跡調査中である。南京市におけるLSDの推定出生率は、ファブリー病、クラッベ病、グリコーゲン貯蔵病II型、ニーマン・ピック病、ムコ多糖症II型を合わせて1/1512であった。この研究では、NBGSと酵素活性スクリーニングを直接比較するのではなく、2つの逐次スクリーニング戦略を評価した:(1)NBGSを優先し、反射的に酵素検査を行う、(2)酵素活性を優先し、反射的にゲノム検査を行う。NBGS-first戦略は酵素-first戦略と比較して、感度と特異度が高く、偽陽性率が有意に低く、陽性適中率が高かった(P < 0.05)。
結論:本研究は、NBGSが無症候性LSD患者の早期発見を促進し、タイムリーな介入を可能にし、新生児の健康状態を改善する可能性を明らかにした。NBGSをルーチンの新生児スクリーニングプログラムに組み込むことで、LSDの同定と管理のための効果的かつ予防的なアプローチが提供できる可能性がある。
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