新生児の一過性頻呼吸と幼児期喘息との関連性。
DOI:10.1513/AnnalsATS.202408-873OC
アブストラクト
背景:新生児一過性頻呼吸(TTN)は、胎児肺液の排出遅延により新生児に呼吸困難を引き起こす疾患です。従来は自己制限性疾患とされてきましたが、最近の研究ではTTNと乳児期の呼吸器感染症リスク増加との関連性が示唆されています。目的:本研究は、TTNと小児期における喘息の医療利用との関連性を調査することを目的とします。方法:本研究は、イスラエルのClalit Healthcare Servicesの全国的な電子医療記録を用いた後ろ向きケースコントロール研究です。対象は、2011年から2018年に出生したTTNと診断された満期新生児(TTN+群)と、TTNのない対照群(TTN-群)です。主要アウトカムは、6歳までの喘息関連医療利用です。潜在的交絡因子を調整するため、プロペンシティスコアマッチングが用いられました。結果:本研究にはTTN陽性群645例とTTN陰性群187,809例が対象となりました。マッチング前の分析では、TTN陽性群は帝王切開分娩の割合と男性比率が高かったです。マッチング後、人口統計学的および臨床的差異は調整されました。TTN+群の子供は、喘息による救急外来受診率(2.05倍高;P値(Pv)<0.001;95%信頼区間[CI]、1.46-2.89)、喘息診断率(38%増加;Pv<0.001;95% CI、1.18-1.51)、および短時間作用型β刺激薬の処方率(28%増加;Pv=0.002;95% CI、1.1-2.89)が有意に高かったです。これらの関連性は、交絡因子を調整した後も有意でした。結論:本研究の結果は、TTNが小児期の喘息発症リスクの上昇と関連している可能性を示唆しています。この研究は、TTNの潜在的な長期的な呼吸器系への影響に関する理解を深め、影響を受ける乳児の臨床的フォローアップ戦略の策定に役立つ可能性があります。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。