ムコ多糖症III型患者におけるCBT後の自己免疫性溶血性貧血に対するダラツムマブ治療の症例報告
DOI:10.1097/MD.0000000000044874
アブストラクト
根拠:ムコ多糖症III型(サンフィリッポ病とも呼ばれる)は、まれな遺伝性リソソーム蓄積症であり、より一般的な変異型の一つである。この疾患は身体のあらゆる組織や臓器に影響を及ぼし、中枢神経系が最も深刻な影響を受ける。自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は、抗体が赤血球を標的として破壊し、急速な赤血球減少を引き起こす稀で多様な抗体介在性疾患である。AIHAは臍帯血幹細胞移植後の受容者において頻度が高く顕著な合併症である。静脈内免疫グロブリンやリツキシマブを含む免疫抑制療法が主要な治療法となっている。移植後重症AIHAの適切な治療法についてはコンセンサスが得られていない。患者背景:本症例はムコ多糖症III型と診断された5歳男児である。臍帯血幹細胞移植後144日目にAIHAを発症した。診断方法:遺伝子検査、頭部CT、血液細胞分析、直接/間接抗ヒトグロブリン検査。
介入:貧血補正のための赤血球輸血、メチルプレドニゾロン静注、グルコン酸カルシウム、アルカリ溶液、血漿交換、リツキシマブ、ガンマグロブリン、その他の対症療法を含む治療を実施。溶血症状は病態進行中不十分であったが、ダラツムマブ投与により改善。
経過:治療は副作用なく実施され、問題も良好に管理された。退院後546日目に当科より患者への電話フォローアップを実施。患児の認知能力、言語能力、その他の神経学的機能は安定を保ち、さらなる悪化は認められなかった。
教訓:本症例はMPS III(マンニルビオシド蓄積症III型)の小児例を報告する。本疾患は特徴的な顔貌、低身長、認知機能退行、様々な程度の骨格変形、肝脾腫を特徴とする複雑かつ多様な表現型を示す稀な疾患である。本症例は臍帯血移植後に自己免疫性溶血を発症した。リツキシマブ及びガンマグロブリン療法に反応しない患者には、ダラツムマブの使用が検討される。
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