ミオザイムを投与されたポンペ病患者の医療費と治療経路:フランス国民医療データベースに基づく観察研究
DOI:10.1186/s13023-025-03866-2
アブストラクト
背景:ポンペ病は稀な重篤な遺伝性多系統疾患である。15年以上前に革新的な治療法である酵素補充療法(ERT)の恩恵を受けた最初の遺伝性筋疾患の一つであった。この進歩にもかかわらず、地域医療現場における患者管理に関するデータは依然として乏しいが、この疾患の経済的・臨床的二重負担を理解する上で不可欠である。この観点から、フランスの全国医療請求データベースは包括的なデータ収集のための貴重な資源を提供する。 我々の知る限り、本研究はポンペ病患者における医療資源利用の詳細な患者レベル分析を初めて提供するものである。目的は、アルグルコシダーゼアルファ(Myozyme®)によるERTを受けている患者数を推定し、そのケアパスウェイを記述するとともに、フランス全土の地域医療環境および医療機関における関連医療費を評価することである。
方法:高価医薬品対象のフランス全国医療請求データベースを用いてポンペ病症例を同定。2022年にフランス国内でMyozyme®によるERTのために入院歴が1回以上ある全患者を対象とした。2022年の医療資源利用状況を記録し、公的医療保険の観点から費用を評価。一般化線形モデルを用いて費用要因を分析。2023年データを用いた補足分析も実施。
結果: 分析対象患者は合計154名(古典的乳児型ポンペ病24名、遅発型ポンペ病130名)で、平均年齢は48.0歳であった。 患者1人あたりの年間医療費は、IOPD患者で232,117ユーロ、LOPD患者で358,768ユーロであり、費用の約96%が病院内で発生した。Myozyme®の単価および関連入院費に加え、人工呼吸器依存状態と女性であることが主要な費用要因として浮上した。2023年データは主要な知見の堅牢性を確認し、年次固有の変動は認められなかった。
結論:本研究は、Myozyme®治療を受けたポンペ病患者における入院・非入院関連費用を評価する確固たる実世界データを提供する。2022年の年間平均81.9回の医療・パラメディカル相談と49日間の入院日数は、ポンペ病が患者ケアに課す臨床的負担が甚大でありながら不可欠であることを示している。
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