遺伝学的センターに通院する神経退行を伴うインド人小児におけるライソゾーム貯蔵障害。
DOI:10.1007/s13312-015-0768-x
アブストラクト
目的:ライソゾーム酵素欠損の小児における神経退縮の病因を研究する。
デザイン:医療記録のレビュー。
設定: 遺伝専門センター。
参加者:様々なライソゾーム貯蔵障害(LSDs)の診断のために紹介された1453例から選ばれた、学習技能の退行を認める3ヵ月から18歳の小児432例。
方法:血漿中キトトリオシダーゼ、定量的・定性的グリコサミノグリカン、ムコリピドーシスII/IIのスクリーニングを行い、特異的基質を用いて酵素の確認を行った。
結果:309名(71.5%)の小児が神経退縮の基礎原因として異なるライソゾーム貯蔵障害と診断された。血漿中キトトリオシダーゼは135例中82例で上昇し、このうち64例(78%)は種々のLSDであった。90例中69例でグリコアミノグリカンの高排泄が認められ、このうち67例(97.1%)で各種ムコ多糖症の酵素欠損が確認された。一方、Icellスクリーニングが陽性であった90例中3例ではムコリピドーシスII/IIIが確認された。中でも糖脂質貯蔵障害が最も多く(50.2%)、次いでムコ多糖症(MPS)(21.7%)、スルファチド分解異常(17.5%)であった。神経細胞性セロイドリポフシノーシス1および2(7.4%)、ムコリピドーシスII/III(1%)、シアル酸貯蔵障害(1%)、ニーマン・ピック病C型(1%)、フコシドーシス(0.3%)は頻度は低かった。全症例で最も一般的な表現型は、チェリーレッドスポット(18.5%)、肝脾腫(17.9%)、粗面(15%)、痙攣(13.1%)、骨格異常(12.14%)であった。
結論:ライソゾーム貯蔵障害は、学習能力の退行、異形、チェリーレッドスポットを伴う小児によくみられる原因のひとつと考えられている。中でも糖脂質貯蔵障害が最も多く、次いでムコ多糖症である。
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