小児白質ジストロフィー患者における標準治療以外の造血幹細胞移植の範囲と負担。
DOI:10.1177/0883073818798090
アブストラクト
遺伝性白質ジストロフィーは、中枢神経系のミエリンに影響を及ぼし、死亡または重大な健康障害をもたらす疾患群である。ほとんどの白質ジストロフィーでは根治的な治療法はないが、一握りの疾患では造血幹細胞移植(HSCT;骨髄移植)により疾患の進行を阻止することができ、適時に開始すれば神経系やその他の器官の病変の多くまたはすべてを予防することができる。しかしながら、造血幹細胞移植は複雑な手技であり、重大な罹患率と死亡率のリスクを伴う。本研究の目的は、造血幹細胞移植が一般的に行われている白質ジストロフィー以外の疾患において、造血幹細胞移植がより広く行われているかどうかを明らかにすることであった。著者らは、Pediatric Health Information Systemに参加している51の小児病院において、全米で実施された造血幹細胞移植について2年間のレトロスペクティブレビューを行った。著者らは、スフィンゴ糖脂質症、ファブリー病、ゴーシェ病、ニーマン・ピック病など、造血幹細胞移植が「非標準的」である白質ジストロフィーの国際疾病関連保健問題統計分類(ICD-10)第10版コードのスクリーニングを行い、造血幹細胞移植の候補となる白質ジストロフィーのICD-10コード、具体的にはX連鎖性アドレナリン白質ジストロフィー、色素性白質ジストロフィー、クラッベ病、ハーラー病を有する患者を除外した。著者らは、造血幹細胞移植を受けた非標準的白質ジストロフィーの患者 91 例(総コホート 937 例から)を同定した。造血幹細胞移植は20の病院で実施され、大部分は6病院のみで実施された。患者一人当たりの平均費用(786 846ドル)は造血幹細胞移植を受けなかった患者の6倍以上であった。このデータから、予想外に多くの白質ジストロフィー患者が、造血幹細胞移植が通常行われず、高額な医療費を伴う疾患に対して移植を受けていることがわかる。
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