シナカルセト療法の経験:遺伝性ビタミンD抵抗性くる病における。
DOI:10.1515/jpem-2019-0258
アブストラクト
背景 遺伝性ビタミンD抵抗性くる病(HVDRR)は、ビタミンD受容体(VDR)の抵抗性により、生後早期に発症するくる病の臨床像を呈し、アルカリフォスファターゼの増加、低カルシウム血症、低リン血症、副甲状腺機能亢進症、および1,25-ジヒドロキシビタミンD(カルシトリオール)の増加を特徴とする骨疾患です。ビタミンD受容体(VDR)のDNA結合領域における変異は、伝統的なカルシウムとカルシトリオールの治療に対する反応の欠如によって特徴付けられています。二次性副甲状腺機能亢進症と低リン血症が、その病態の主な要因です。シナカルセトは、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を調節する副甲状腺のカルシウム感受性受容体(CASR)の感受性を高めることで、カルシウムの作用を模倣するカルシウム模倣薬です。症例報告 本症例において、HVDRR患者におけるシナカルセトの有効性と安全性を報告し、文献に報告された他の症例をレビューします。既報の経験によると、VDRのDNA結合領域に突然変異を有するHVDRRで伝統的な治療に抵抗性を示す場合、シナカルセトは補助療法として使用できる可能性があります。ただし、シナカルセトが骨のCASRに与える可能性のある影響が不明であるため、長期使用は避けるべきです。結論 HVDRRの治療におけるシナカルセトの最適用量は0.25~0.5 mg/kg/日です。このタイプの患者においてシナカルセトの重大な副作用は報告されていませんが、低カルシウム血症を検出するため、慎重なモニタリングが必要と考えられます。
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