米国におけるムコ多糖症(MPS)の疫学:課題と機会。
DOI:10.1186/s13023-021-01880-8
アブストラクト
背景:ムコ多糖症(MPS)は、進行性の多臓器病変を特徴とするまれな遺伝性ライソゾーム貯蔵障害である。MPSの罹患率および有病率に関するこれまでの研究は、主に米国以外の国を対象としており、国によってかなりのばらつきがみられた。本研究は、米国におけるMPSの発生率と有病率を国および州レベルで明らかにし、臨床医や政策立案者の指針とすることを目的とした。
方法:この後方視的研究では、全米MPS協会のデータベース記録を用いて、1995年から2015年までに米国で診断されたMPS全症例を調査した。データには出生年、患者の地理的位置、MPS変異型が含まれる。米国の人口情報はNational Center for Health Statisticsから入手した。各疾患について罹患率と有病率を算出した。罹患率は州ごとに算出した。
結果:20年間に789人のMPS患者から情報を得た。米国におけるMPSの発生率は出生10万人当たり0.98人であった。有病率は100万人当たり2.67人であった。MPS I、II、IIIの出生時発症率は0.26/10万人と最も高く、有病率は0.70-0.71/100万人であった。MPS IV、VI、VIIの出生時発生率は、10万人当たり0.14人、0.04人、0.027人であった。
結論:これは米国におけるMPSの発生率と有病率に関する最も包括的なレビューである。米国の人口が多く、州が細分化されているため、米国の罹患率と有病率は他国より低いことがわかった。それにもかかわらず、米国の州レベルの研究はこれらの数値を支持している。MPSの新生児スクリーニングだけでなく、各州からの報告を義務付けた全国希少疾患登録の確立に力を入れるべきである。
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