肝移植前および肝移植後1年の幼児における運動成績。
DOI:10.1111/petr.14200
アブストラクト
背景:運動技能の習得は、身体活動への参加や社会的・身体的健康全般に重要な役割を果たす。肝移植(LT)前後の小児の運動能力の発達を調べた研究は限られている。
方法:胆汁うっ滞性肝疾患を有する6歳未満の小児を対象に、肝移植前および肝移植1年後の運動発達についてレトロスペクティブレビューを行った。測定項目は、Alberta Infant Motor ScaleおよびPeabody Developmental Motor Scale(粗大運動指数(GMQ)、微細運動指数(FMQ)、総合運動指数(TMQ))。医学的変数と運動転帰との関連を検討した。
結果:参加者は、胆道閉鎖症(70%)、アラジール症候群(21%)、その他(9%)の診断を受けた33名(58%男性)であった。LT時の年齢中央値は10ヵ月(IQR 7.0-20.5)であった。LT前の75%以上の小児は運動遅滞のリスクがあった(AIMSで10パーセンタイル以下/GMQ平均値より1SD以上低い)。LT後、52%が平均GMQより1SD以上低いスコアであったのに対し、FMQは22%であった。LT前の危険/遅延児は、LT後のGMQにおける運動遅延のリスクが高かった(オッズ比11.43、95%CI 1.12-116.7、p = 0.017)。LT前のINRの高さは、LT後のTMQの低さと相関した(r = -.51, p = 0.003)。待機リスト時間が長いほど、LT後のFMQは低かった(r = 0.41、p = 0.03)。GMQと身長zスコアは、LT前(r = 0.46、p = 0.02)とLT後(r = 0.45、p < 0.01)で正の相関があった。腹水の有無、体重zスコア、入院期間、LT時の年齢との相関はみられなかった。
結論:幼小児はLT前に運動遅滞のリスクが高く、LT後もそれが持続する可能性がある。肝疾患の重症度と発育遅延が運動発達に影響を及ぼす可能性があり、LT前後の継続的なリハビリテーションの必要性が強調される。
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