ファブリ病アウトカム調査(FOS)20年:グローバルな患者登録システムから得られた洞察、成果、および教訓。
DOI:10.1186/s13023-022-02392-9
アブストラクト
背景:患者登録システムは、希少疾患を有する大規模な患者集団における疾患の自然経過や進行、治療効果に関する長期的な現実世界の証拠を提供し、疾患の理解を深めるのに役立ちます。2021年は、国際的な多施設共同観察研究であるファブリ病アウトカム調査(FOS)(NCT03289065)の設立20周年を記念する年です。FOSの主な目的は、X連鎖性リソソーム貯蔵障害であるファブリ病(FD)の理解を深め、影響を受ける患者の臨床管理を改善することです。本稿では、FOSの歴史、レジストリから得られた分析結果と発表内容、およびFOS研究がFDの理解に果たした役割について概説します。
結果:FOSは2001年4月に開始され、2021年1月現在、26カ国の144施設から、確定診断と患者同意を得た4,484名の患者が登録されています。FOSのデータは、FDに関連する多様なテーマを扱った約60件の論文で発表されています。FOSデータの分析では、アガラシダーゼ・アルファを用いた酵素置換療法(ERT)の長期的な有効性と安全性、およびFDに関連する心筋症の進行や腎機能の低下に対する早期治療の利益が調査されています。FOSデータの分析に基づき、アガラシダーゼ・アルファを用いたERTは、患者が経験するFDの追加の症状や徴候の改善にも有効であることが示されています。FOSデータの分析は、FDの自然歴や女性、小児、高齢者といった特定の患者集団に関する理解を深め、FDの研究に実用的なツールを提供してきました。FOSは、疾患の重症度を評価するための方法論と基準を提供し、FDにおける医療実践の継続的な発展に貢献してきました。また、希少疾患における長期データ収集の課題とニーズに対する理解を大幅に向上させ、今後の希少疾患の現実世界におけるエビデンス研究を支援しています。結論:過去20年間にわたるFOSは、FDの患者管理に関する科学的知識を大幅に拡大し、この希少疾患に対する理解を継続的に深めています。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。
