COL4A4変異体の新規同定:変異体解釈における教訓-症例報告。
DOI:10.1186/s12882-022-02866-9
アブストラクト
背景:アルポート症候群は、血尿と蛋白尿を特徴とする遺伝性腎疾患です。常染色体優性遺伝のCOL4A4変異の報告はありますが、この疾患は診断が不足している可能性が高いと考えられています。手頃な価格の遺伝子検査へのアクセスが改善されたことで、アルポート症候群の診断件数が増加しています。遺伝子検査が普及するにつれ、臨床腎臓科医は臨床遺伝子検査の利点と課題を理解することが不可欠です。
症例報告:メキシコ系家族において、文献で詳細に報告されていないCOL4A4変異(c.5007delC、ClinVarアクセス番号:SCV001580980.2、SCV001993731.1)を有する症例を報告します。患者は、初発の血尿から18年後に慢性腎不全ステージIIIに進展し、ファブリ病を疑う生検診断を受けました。その後、娘の遺伝子変異検査でCOL4A4遺伝子変異が同定され、アルポート症候群の暫定診断が下されました。患者様の子供と姪の医療記録をレビューしたところ、1人を除いて全員が同じ変異を有していました。変異を有する4人のうち3人は血尿と/または蛋白尿の臨床症状を示しています。4人中最年少の患者は数ヶ月齢で、まだ臨床症状は現れていません。これらの所見にもかかわらず、患者が異なる商業用遺伝子検査施設で検査を受けたため、データの統合に相当な遅延が生じました。その後、この家族の遺伝パターン、家族歴、臨床症状、およびCOL4A4変異体の位置を把握した結果、変異体の分類が更新されました。異なる臨床遺伝学的検査施設間でこの変異体の分類は異なっていましたが、この変異体が病原性である可能性が高いというコンセンサスが得られました。
結論:文献で詳細に議論されていないこのCOL4A4変異体(c.5007delC)はアルポート症候群と関連しています。遺伝パターンは常染色体優性遺伝を示唆しています。本報告は、変異体の解釈と分類の複雑さ、商業用遺伝子検査施設の分断化された性質、適切な変異体解釈のための詳細な家族歴の重要性を強調しています。さらに、これらの症例はアルポート症候群の多様な臨床症状を示し、早期スクリーニング、診断、モニタリング、治療の有用性を示唆しています。
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