デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者における心臓磁気共鳴画像法による左心房の相機能。
DOI:10.1007/s00246-023-03327-2
アブストラクト
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)における心機能障害は、主要な死亡原因の一つです。左心房(LA)機能は、この患者集団において十分に理解されていない概念であり、研究では心房機能に影響を与える可能性のある構造的な変化が示唆されています。心臓磁気共鳴(CMR)画像診断は、LA機能評価のための重要な非侵襲的アプローチを提供する可能性があります。本研究は、1年間にわたり連続したCMR検査を単一施設で後方視的に検討し、DMD患者群におけるLAの相機能と、構造的・機能的に正常な心臓を有する群との比較を行いました。LAの歪み測定(全心房貯留、導管、ブーストポンプ歪み)およびLA容積を後方視的に算出しました。心房歪み測定値に対してスピアマン相関分析を実施しました。DMD患者107例と正常CMR検査79例が対象となりました。DMD群では、収縮期機能が悪化(p<0.001)、心房最大容積指数と左心室(LV)容積が小さく(p<0.001)、心房排空分率が有意に高かった(p<0.001)。DMD群では、患者年齢の進行(p<0.001)および収縮機能の低下(p<0.001)に伴い、空洞化率が低下しました。中等度または重度のLV機能障害を有するDMD患者では、左心房排空率(p=0.002)、2室型左心房貯留腔の機能障害(p=0.003)、左心房ポンプ機能(p=0.006)および導管部歪み(p=0.018)が低下していました。機能保持群のDMD患者では、対照群に比べて左心房指数化容積が低く、左心房排空率が高かったです。疾患の進行と年齢は、リザーバーとコンダクト歪みにおける早期所見を伴う左心房排出率の低下と関連していました。これらの所見は、DMD患者において左心房のコンプライアンスを示す歪みマーカーと早期左心室弛緩が、心筋症の悪化と関連していることを示唆しています。
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