神経因性ムコ多糖症IIの小児患者を対象とした第2/3相臨床試験におけるイドゥルスルファーゼ-ITの髄腔内投与に関する介護者の経験と観察。
DOI:10.1186/s13023-024-03034-y
アブストラクト
背景:ムコ多糖症II型(MPS II)患者の約3分の2は、体格、認知、行動上の問題を特徴とする重篤な神経因性表現型を有している。MPS IIの治療における現在の標準治療は、遺伝子組換えヒト・イドゥロン酸-2-スルファターゼ(イドゥルスルファターゼ)の静脈内投与による酵素補充療法である。MPS IIの認知症状をターゲットとするため、イドゥルスルファ-ゼは脳脊髄液への髄腔内投与用に製剤化されている(イドゥルスルファ-ゼ-IT)。患者に焦点を当てた医薬品開発の推奨に従って、神経因性MPS IIの小児患者を対象としたイドゥルスルファ-ゼの静脈内投与に加え、イドゥルスルファ-ゼ-ITの52週間の第2/3相試験、または3歳未満の患者を登録したサブスタディにおいて、介護者の経験と観察を評価するために半構造化面接が実施され、すべての患者にイドゥルスルファ-ゼ-ITが投与された。
結果:全体として、50人の小児(面接時の平均年齢[範囲]7.9[3-17]歳)の世話をしていた46人の介護者が、1回60分の終了時面接に参加した。介護者とその家族が経験したMPS IIの負担を示す質的・量的データが得られた。試験参加後、39名(78%)の小児が、介護者から症状や疾患の影響の改善を経験したと報告された。そのうち37人(95%)が認知機能の改善を、26人(67%)が情緒的/行動的な改善を経験した。全体として、43人の子供(86%)は、治験前に中等度または重度の症状があると介護者から評価されていた。サブスタディに参加した6人の子どもでは、この割合はそれぞれ83%と100%であった。試験体験に関する養育者の質的記述から、子どもの言語・非言語機能、空間・運動技能の改善が示唆され、家族生活にも良い影響があった。
結論:本研究により、介護者が報告した小児のMPS II症状の改善と、患者とその家族に対するMPS IIの影響が明らかになった。認知機能の改善とMPS II症状の重症度軽減の傾向がみられた。イドゥルスルファ-ゼ-ITの長年にわたる広範な検討と規制当局との協議の結果、臨床試験デ-タは、規制当局への申請を支持する証拠基準を満たすには不十分であることが判明した。
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