ワクチンは姿勢起立性頻脈症候群を引き起こすか?全国ワクチン傷害補償プログラムにおける症例の検討。
DOI:10.1016/j.pediatrneurol.2024.09.025
アブストラクト
背景:1986年に制定された全米小児ワクチン傷害法は、従来の不法行為制度に代わる無過失補償制度である全米ワクチン傷害補償プログラム(VICP)を創設した。1988年以来、支払われた補償総額は60億ドルを超えている。体位性起立性頻脈症候群(POTS)は、賠償請求の頻度の高い原因であるが、現在の医学的情報に基づく賠償請求のプロセスと法的結果の妥当性については、これまで検討されてこなかった。本研究の目的は、ワクチンに関連した体位性頻脈症候群を検討し、裁判所が下した判断の根拠を評価することである。
方法:我々は102例の体位性頻脈症候群を同定した。公表されたすべての報告書について、ワクチンによる体位性頻脈症候群を支持する申立人の理論、被申立人の反論、補償に関する最終決定、およびこれらの決定の根拠となる理論的根拠を検討した。第一の目的は、ワクチンが体位性頻脈症候群を引き起こすかどうかの判断にどのような要因があるのかを明らかにすることであった。
調査結果:特別審理委員は、訴訟を決定するにあたり、申立人と被申立人双方の専門家証人に高い信頼を置いている。申立人の専門家は、ワクチン、主にヒトパピローマウイルスワクチンが、分子模倣によって誘発される自己免疫によって体位性頻脈症候群を引き起こしていることを頻繁に示唆した。しかし、102件のうち、体位性頻脈症候群がワクチンによって直接引き起こされたと考えられるものはなかった。
結論:VICPの対象となる小児用ワクチンが体位性頻脈症候群を引き起こすことを示す疫学的あるいはメカニズム的証拠がないにもかかわらず、このような症例は、政府に多大な負担をかけながら裁定され続けている。ワクチンの体位性頻脈症候群への関与を示す新たな科学的裏付けがない限り、VICPはこのようなケースの検討を中止すべき時である。
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