脊髄性筋萎縮症のニュージーランドにおける疫学
DOI:10.1177/22143602251319165
アブストラクト
背景:脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する3つの有効な疾患修飾療法の登場により、SMAの疫学とその障害への影響を理解する必要性が浮き彫りとなった。目的:アオテアロア・ニュージーランドにおけるSMAの全国的な発生率と有病率を確立し、患者の障害度およびこれが医療資源利用に与える影響を推定することを目的とした。
方法:複数の情報源を用いてSMA患者を特定し、個々の患者記録と遺伝子検査結果のレビューにより診断、障害、資源利用を確認した。4年間の発生期間を2015年7月1日から2019年6月30日までとした。 有病率調査日は2019年3月1日とした。特筆すべきは、この期間がニュージーランドにおける疾患修飾療法導入前にあたる点である。分母には2018年国勢調査データを用いた。記述統計および捕捉再捕捉法によりデータを分析した。背景として、国際的なSMA疫学をレビューした。
結果:出生10万件当たりの発生率は8.0(95%信頼区間(CI):4.8-12.5)であった。2019年3月1日時点のSMA標準化有病率は10万件当たり1.78(95% CI:1.24, 2.33)であった。 マオリ族における有病率は0.34(95% CI: 0.08, 1.13; p=0.006)と有意に低かった。 運動発達達成度から著しい低下を認めた。SMA1型患者7名は疾患修飾療法を受けられず死亡した。全コホートの74%が車椅子を使用。23%が呼吸補助を必要とした。62%が脊柱側弯症を有し、うち61%が手術歴あり。生存するSMA1型患者は医療サービス利用率が極めて高かった。
結論:発生率および有病率は国際研究とほぼ一致する。マオリにおけるSMA低発生率の記録は今回が初めてである。疾患負担の大部分はSMA1型および2型患者に集中するが、SMA3型および4型患者においても医療資源の相当な利用が認められる。
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