神経膠腫におけるBRAF V600E変異:てんかん原性への影響と手術戦略への示唆。
DOI:10.1111/ene.70136
アブストラクト
目的:神経節膠腫は、てんかん手術を受けた患者によくみられる病態である。切除により治癒することもあるが、てんかん発作の再発が起こる。CD34の発現とBRAF V600E変異は神経節膠腫で最もよくみられる分子バイオマーカーであるが、発作の転帰に及ぼす影響は不明である。そこでわれわれは、予後因子をよりよく説明するために、20年以上にわたるわれわれの経験を再検討した。
方法:2000年以降に当施設で神経節膠腫の手術を受けた全患者の後方視的カルテレビューを行った。術前にてんかんがあり、最低1年の追跡期間があった患者を対象とした。入手可能な腫瘍標本はCD34とBRAF V600Eの免疫組織化学染色を行った。
結果:神経節膠腫の手術を受けたてんかん患者62例を対象とした。病変切除は32例(51.6%)、拡大切除は21例(33.9%)、部分切除は9例(14.5%)に行われた。術後MRIで残存腫瘍塊が診断されたのは21例(33.9%)であった。CD34反応性は57例(91.9%)で認められ、BRAF V600E変異は30例(48.4%)で検出された。BRAF V600E変異を有する患者は、てんかん発症時(9.1歳 vs 15.2歳)および手術時(14.5歳 vs 23.7歳)に若年であった。残存腫瘍はてんかん再発の最大のリスク因子であり(ハザード比8.45)、BRAF V600E変異もこのリスクを増加させた(ハザード比3.94)。
結論:神経節膠腫関連てんかん患者におけるBRAF V600Eの状態は、手術後の発作再発リスクを層別化する潜在的なバイオマーカーである。BRAF V600E陽性患者は、より積極的な手術戦略から利益を得られる可能性がある。
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