成人および小児患者における新規発症難治性状態てんかんの比較解析:免疫療法のタイミングと機能的転帰。
DOI:10.1007/s00415-025-13055-7
アブストラクト
目的:成人および小児の新型難治性てんかん(NORSE)患者の臨床経過を比較することを目的とし、免疫療法の開始時期、集中治療室(ICU)滞在期間、機能的転帰について検討した。
方法:McGill University Health Centreに入院したNORSE患者(2013年1月~2023年7月)を対象にレトロスペクティブレビューを行った。収集されたデータには、人口統計学、診断、治療、ICU滞在期間、抗てんかん薬の長期使用、修正ランキンスケール(mRS)スコアが含まれ、良好な転帰はmRS 0-2、不良な転帰は3-6と定義された。免疫療法の早期開始は、入院後7日以内の第一選択薬投与、30日以内の第二選択薬投与と定義した。成人患者と小児患者で比較を行った。
結果:15例の患者(成人10例、小児5例)が同定され、年齢中央値はそれぞれ34歳と4歳であった。成人患者3例(抗NMDA受容体脳炎2例、小細胞肺がん1例)、小児患者2例(抗NMDA受容体脳炎1例、血球貪食性リンパ組織球症1例)で原因となる病因が同定され、残りはクリプトジェニックNORSEと考えられた。良好な機能的転帰(mRS 0-2)は小児コホートの80%にみられたが、成人では40%にすぎなかった。慢性免疫抑制の増量が早かった小児では、機能的転帰が良好な傾向がみられたが、成人コホートでは同じ傾向はみられなかった。
考察:成人NORSE患者と小児NORSE患者の間には、病像や臨床経過に違いがあり、小児の方が長期予後が良好である可能性がある。しかし、さらなる研究が必要である。年齢特異的な因子を調べることで、より的を絞った治療アプローチが導き出せるかもしれない。理想的には、プロスペクティブな多施設ランダム化比較試験を実施し、すべての年齢層にわたるNORSEの最適な治療プロトコルを決定するための、より確かなデータを得ることである。
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