重度の脊柱側弯症を伴う歩行不能型脊髄性筋萎縮症における成長促進術またはTコンストラクト骨盤固定を伴う後方脊椎固定術
DOI:10.1097/BPO.0000000000003008
アブストラクト
背景:脊髄性筋萎縮症2型(SMA2)における脊柱側弯症の外科的治療は、その希少性と患者の脆弱性から困難であり、文献での報告も少ない。本研究の目的は、フランスの神経筋疾患専門センターにおいて脊柱側弯症手術を受けたSMA2患者における外科的戦略と転帰を検討することである。
方法:2009年から2022年にかけて当フランス基準センターで脊椎手術を受けた、遺伝子検査でSMA2と確定診断された連続症例を遡及的に分析した。初回手術の種類に基づき、磁気制御成長ロッド(MCGR)群と後方脊椎固定術(PSF)群の2群に分類した。術前および最終フォローアップ時に、人口統計学的、呼吸器学的、放射線学的パラメータを収集した。全ての合併症を報告した。患者および/または介護者によるアウトカム評価質問票を用いて、座位姿勢の改善度も評価した。
結果:対象期間中に17例がMCGRを、9例がPSFを受けた。平均追跡期間はMCGR群で5.3±1.8年、PSF群で8.0±4.5年であった。手術時の平均年齢はMCGR群で9.7±1.6歳、PSF群で12.6±1.7歳。骨盤固定はTconstruct(仙骨スクリュー2本+腸骨スクリュー2本)を用いて実施。PSFは全椎体レベルで椎弓根スクリューを水平固定。MGCR群では上部胸椎固定として肋骨固定(n=4)、3椎体レベルでの椎体固定(n=9)、肋椎複合固定(n=4)を実施。輸血は不要であった。両手術法において術前・術後の肺機能検査に差異は認められなかった。主弯曲矯正率はMCGR群で44%、PSF群で55%であった。最終追跡時点での骨盤傾斜は全例で5度未満であった。予定外手術は3例発生:MGCR延長術後の修正1例、PSF群では近位フック移動1例、感染1例。全例で座位能力が改善した。結論:本症例群において、PSFおよびMGCRは安定したX線所見と呼吸機能結果をもたらし、全身合併症発生率を低減した。T字構造体を用いた骨盤固定術は、本患者集団における骨盤傾斜矯正の信頼性が高く有効な手法であった。
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