日本における小児炎症性腸疾患の診断ガイドラインに関する専門家コンセンサス
DOI:10.1007/s00535-025-02271-7
アブストラクト
背景:炎症性腸疾患(IBD)はあらゆる年齢で発症する可能性がある。小児患者では、成長と発達が進行中であるため、成人よりも幅広い症状を示し、より重篤な経過をたどることがある。したがって、小児IBDは非典型的な臨床経過や検査所見を示すことが多い。小児特有の疾患表現型、鑑別診断、評価戦略の違いを認識することが不可欠である。欧州小児消化器病・肝臓病・栄養学会(ESPGHAN)が2014年に提唱した改訂ポルト基準は、日本を含む世界的に小児IBD診断に広く用いられている。
目的:これらの基準が広く用いられているにもかかわらず、日本では小児IBDの正式な診断ガイドラインが策定されていない。本稿では、日本における小児IBDの重要な診断上の考慮事項と臨床実践をまとめ、将来のガイドライン策定を支援することを目的とした。方法:本レビューは、関連する国際的な診断ガイドラインと日本の小児消化器専門医の専門家の意見に基づいて作成された。主要な臨床的・検査的評価、ならびに現在の治療と経過観察のアプローチを概説する。
結果:IBDが疑われる小児において推奨される診断検査と特に注意を要する臨床的ポイントをまとめた。本稿は国際基準と国内臨床経験の両方を反映している。結論:本稿は正式な診断基準を提供したりエビデンスレベルを評価したりするものではないが、日本における小児IBDの診断と管理において医師と患者を導く正確かつ実践的な情報を提供する。
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