睡眠時スパイク・ウェーブ活性化を伴う発達性および/またはてんかん性脳症(DEE-SWAS)における現在および将来の治療戦略:精密医療の時代か?
DOI:10.1016/j.pediatrneurol.2025.06.017
アブストラクト
睡眠時スパイク・ウェーブ活性化を伴う発達性および/またはてんかん性脳症(D/EE-SWAS)は、認知機能の退行または停滞と、睡眠中の顕著なてんかん様活動活性化を特徴とする小児期発症のてんかん症候群である。DEE-SWASは既存の神経発達障害を伴う症例を指し、EE-SWASはてんかん性脳症発症前に発達が正常であった場合に適用される。本症候群は小児てんかんの約0.2~1.3%を占める。D/EE-SWASの病因には構造異常、自己免疫性要因、遺伝的要因が含まれるが、原因不明の症例が多い。発達途上の脳における活発なてんかん性過程は認知機能と行動の障害を引き起こす。このため、電気臨床症候群の早期認識と治療開始は長期的な認知予後にとって極めて重要である。従来、利用可能な治療戦略は、抗てんかん薬とステロイドの併用など、質が低く有効性も限定的なものが主流であった。これらは病因に基づく仮説ではなく、症候群診断に基づいていた。近年、治療は精密医療アプローチへと移行しつつあり、遺伝子診断の割合が増加し、特定の患者における外科的治療の有効性を支持する新たなエビデンスが得られ、GRIN関連疾患におけるL-セリンなどの特異的標的治療が登場している。さらに、これと並行してD/EE-SWAS症候群特異的な設計による臨床試験が進行中である。本総説は、D/EE-SWAS治療に関するエビデンスをまとめ、現在開発中の薬剤に関する最新情報を提供するとともに、症候群と病因の両方に基づく治療戦略を統合する精密医療アプローチを模索することを目的とする。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。
