小児炎症性腸疾患における抗腫瘍壊死因子療法の初回非反応性および薬剤持続性の予測因子
DOI:10.1002/jpn3.70160
アブストラクト
目的:抗腫瘍壊死因子(抗TNF)療法は、炎症性腸疾患(IBD)(クローン病[CD]、潰瘍性大腸炎[UC]、および分類不能IBD[IBD-U])の小児患者における第一選択治療である。小児における抗TNF療法の持続性と反応喪失を記述した研究は限られている。本研究は、小児IBD患者における初回無効性と3年間の薬剤持続性の予測因子を評価する。方法:2014年1月1日から2019年12月31日までに抗TNF薬(インフリキシマブまたはアダリムマブ)を開始した18歳未満のIBD患者を対象とした単施設後方視的検討である。抗TNF薬開始時、14週目、12ヶ月目、3年目の臨床データおよび検査データを記録した。初回無効(14週間以内の治療中止)および治療持続性の予測因子を評価した。
結果: 抗TNF療法を開始した患者は合計456例(アダリムマブ183例、インフリキシマブ273例)であった。37例(8%)が初回非反応者であった。両薬剤とも3年投与継続率は70%超であった。クローン病患者では、両薬剤とも3年投与継続率は75%超であった。UC/IBD-Uにおける3年持続率はアダリムマブ37%、インフリキシマブ56%であった。初回無反応の予測因子として、CD患者ではインフリキシマブ投与時の赤血球沈降速度>55mm/h、UC/IBD-U患者ではベースラインアルブミン<4g/dLおよび診断時年齢<15.6歳が認められた。
結論:抗TNF療法はCD患者において3年持続率が75%超であったが、UC/IBD-U患者では持続率が低かった(37%~56%)。一次非応答者は10%未満であり、非応答の予測因子を考慮しつつ、小児IBDに対する抗TNF療法の長期持続性を支持する結果となった。
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