中東・北アフリカ地域における自閉症スペクトラム障害の有病率の推定:系統的レビューとメタ分析。
DOI:10.1186/s12889-025-23651-x
アブストラクト
背景: 中東・北アフリカ(MENA)地域における自閉症スペクトラム障害(ASD)の有病率推定値は、最近の証拠が不足しているため、容易に入手できません。本研究では、公表された研究の証拠を統合することで、MENA地域におけるASDの有病率を推定しました。
方法: PubMed、EMBASE、Scopus、CINAHLを検索し、MENA地域におけるASDの有病率を評価した研究を対象に、系統的レビューとメタ分析を実施しました。バイアスリスクはNewcastle Ottawaスケールを用いて評価しました。バイアス調整済み逆分散異質性メタ分析モデルを用いて、対象研究の有病率推定値を統合しました。コッホランのQ統計量とI統計量を用いて異質性を評価し、出版バイアスはファンネルプロットとDoiプロットを用いて評価しました。結果:3,739件の研究を同定し、そのうち19件が inclusion criteria を満たし、2007年から2025年の期間にイラン、オマーン、リビア、エジプト、サウジアラビア、レバノン、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタール、イラクで発表されました。国別の有病率推定値は、2009年のオマーンの0.01%から、2024年のイラクの1件の研究における6.50%まで範囲がありました。MENA地域におけるASDの全体的な有病率は0.14%(95%CI 0.02-0.36%)で、有意な異質性(I=99.8%)が認められました。2015年以前に実施された研究の全体的なASD有病率は0.04%(95%CI 0.00-0.13、I=99.4%)であり、2015年以降に実施された研究では0.45%(95%CI 0.17-0.87、I=99.4%)でした。M-CHATのみを使用した研究では、ASDの有病率は高かった[1.66%(95%CI 0.15-4.33,I=97.5%)] であったのに対し、診断にDSM-IV(精神障害の診断と統計マニュアル第4版)の基準を用いた研究では、全体的なASD有病率は0.14%(95%CI 0.00-0.46、I=99.9%)でした。
結論:MENA地域におけるASDの有病率の推定値は、診断方法やサンプリング手法の違いにより大きく異なっている。データは研究期間中に有病率の増加の可能性を示唆しているが、この観察結果は、より堅固な、縦断的かつ方法論的に一貫した研究によるさらなる調査が必要である。登録:PROSPERO登録ID CRD42024499837.
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