北米小児消化器病・肝臓病・栄養学会による小児炎症性腸疾患における治療薬モニタリングに関する見解書
DOI:10.1002/jpn3.70158
アブストラクト
炎症性腸疾患(IBD)では、罹患率を予防し生活の質を維持するための効果的な治療法が必要である。腫瘍壊死因子(TNF)αを標的とするモノクローナル抗体を皮切りに、生物学的製剤の導入は新たな進歩の時代を切り開き、クローン病および潰瘍性大腸炎の短期的・長期的な治療成績を著しく改善した。こうした進歩と並行して、小児IBD患者における生物学的製剤の最適使用には課題も生じている。幼い小児では薬物クリアランスが速い場合があり、成長期の小児では体格・代謝・発達の変化に伴い薬剤ニーズが変動する。こうした理由から、画一的な用量(単一投与量)は通用しない。治療薬モニタリング(TDM)は、通常投与前のトラフ時における血清中薬物濃度測定を伴い、投与量の最適化と薬物動態学的失敗の防止に有用なツールとして確立された。本学会論文では、抗TNF薬および新興生物学的製剤の導入療法・維持療法における目標範囲を含むTDMの活用について概説する。本報告書は、北米小児消化器病・肝臓病・栄養学会(NASPGHAN)炎症性腸疾患(IBD)委員会を代表し、小児消化器病専門医が最新の文献を詳細に検討した上で作成した。本臨床的立場表明の目的は、IBD小児患者の治療を最適化するためのTDM活用について、臨床医に指針を提供することである。
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