炎症性腸疾患を有する小児におけるウステキヌマブの長期効果:系統的レビュー
DOI:10.1002/jpn3.70163
アブストラクト
成人用モノクローナル抗体であるウステキヌマブは、難治性炎症性腸疾患(IBD)の小児・青年患者への使用が増加している。本レビューは小児集団における長期的な有効性と安全性を分析することを目的とした。このため、PROSPERO(CRD42024555896)に登録したシステマティックレビューを実施した。2024年5月30日までにPubMed/Medline、Cochrane Library、Web of Scienceに登録された論文をスクリーニングした。質の評価にはNewcastle-Ottawa Scaleを用いた。563件の論文から11件の観察研究が選択され、444名の小児IBD患者が分析対象となった。寛解率は変動した:16週時点で47%、26週時点で57~59%、52週時点で40~64%。さらに臨床的改善として、Zスコア・体格指数(BMI)の改善、炎症の軽減、粘膜・肛門周囲病変の治癒が認められた。5研究では体重に基づく標準用量が設定された:260mg(55kg未満)、390mg(55-85kg)、520mg(85kg超)。維持用量は通常8-12週間ごとに90mgであった。一部の患者では併用療法(例:メトトレキサート、コルチコステロイド、5-アミノサリチル酸)が実施された。副作用として乾癬の悪化、皮膚・神経学的反応、感染症、トランスアミナーゼ上昇、リンパ球減少が報告された。重篤な有害事象は稀であったが、アナフィラキシーおよび急性下痢による死亡例1例が報告されている。全体として、ウステキヌマブは小児IBDにおいて有望な臨床的・検査的結果を示している。ただし、寛解率や有害事象に関するエビデンスを確固たるものとするには、長期研究が不可欠である。
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