JAG1およびNOTCH2関連アラジール症候群の表現型分化と疾患特異的NOTCH2変異体分類ガイドライン
DOI:10.1111/liv.70251
アブストラクト
背景と目的:アラジール症候群(ALGS)は、表現型の多様性が高い稀な常染色体優性疾患である。疾患原因変異は主にJagged1(JAG1)遺伝子で同定され、NOTCH2遺伝子での報告は少ない。JAG1変異はヘテロ欠損メカニズムで疾患を引き起こすが、NOTCH2変異のメカニズムは完全には解明されておらず、変異の分類をより困難にしている。グローバル・アラジル・アライアンス(GALA)研究を通じて収集した大規模な国際患者コホートを用い、NOTCH2変異の分類改善と、NOTCH2関連疾患とJAG1関連疾患の表現型差異の検討を目指した。
方法:GALAに登録されたALGS患者952名の臨床・分子データを解析し、JAG1変異群(n=902)とNOTCH2変異群(n=34)の疾患特徴を比較した。既報および新規同定のNOTCH2変異について、米国医科遺伝学・ゲノム学学会(ACMG)ガイドラインの疾患特異的修正に基づき再解釈を行った。カプラン・マイヤー法を用いて生体肝臓生存率(NLS)および全生存率(OS)を評価し、遺伝子比較にはログランク検定を用いた。
結果:GALAコホートにおいて、18の新規変異を含む30のNOTCH2変異が同定・分類された。表現型解析により、NOTCH2変異保有者ではJAG1変異保有者と比較して、特徴的顔貌、後胚胎輪、心臓病変、蝶形椎骨の発生率が有意に低いことが明らかとなった(p<0.001)。NLSおよびOSに差は認められなかった。既報のNOTCH2変異61例を再検討した結果、19例(31.1%)が病原性または病原性可能性が高い(VOUS)と再分類され、当初の分類を維持したのは半数未満(34.4%;n=21)であった。
結論:NOTCH2遺伝子と表現型に関する大規模な国際共同研究を報告する。これにより報告済みNOTCH2変異体の数が30%増加した。全変異体は現行ガイドラインに基づき再分類され、JAG1群とNOTCH2群の比較により両群間の明確な表現型差異が示された。これらのデータは、従来の臨床的表現型分類に依存するとNOTCH2関連疾患患者を見逃す可能性を示唆し、包括的な遺伝子検査アプローチの必要性を支持する。
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