炎症性腸疾患を有する小児および若年成人患者におけるウステキヌマブとベドリズマブの実際の有効性
DOI:10.1002/jpn3.70198
アブストラクト
目的:ウステキヌマブとベドリズマブは小児炎症性腸疾患(PIBD)において適応外使用されている。 実臨床データに基づき、これらの薬剤の位置付けと安全性を評価する必要がある。本研究では、(1) 小児潰瘍性大腸炎活動性指数、短縮版小児クローン病活動性指数、カルプロテクチンの指標に基づくPIBD患者におけるウステキヌマブおよびベドリズマブの6ヶ月および1年後の臨床転帰、ならびに(2) 安全性や内視鏡所見を含む副次的評価項目を評価する。
方法:小児大学病院及び2つの外来診療施設で治療を受けた炎症性腸疾患(IBD)の小児・若年成人患者を対象とした後方視的カルテレビュー。2015年1月から2022年6月の間にウステキヌマブまたはベドリズマブを投与された21歳未満のIBD患者を対象とした。
結果:108例が対象となった。潰瘍性大腸炎または分類不能IBD患者では、ベドリズマブ群がウステキヌマブ群と比較して1年ステロイドフリー臨床寛解率が有意に高かった(61%対32%、p=0.04)。6ヶ月時点でも同様の傾向が認められたが有意差はなかった(59%対38%、p=0.12)。 クローン病患者では、ベドリズマブおよびウステキヌマブ投与群の6か月臨床寛解達成率は同等(63%対68%、p=0.70)、1年ステロイド非投与寛解達成率も同等(64%対67%、p>0.90)であった。 ベドリズマブまたはウステキヌマブ投与患者の大半は、6か月時(73%対61%、p=0.20)および1年時(60%対63%、p=0.90)にカルプロテクチンの値が250μg/g未満を達成した。 生物学的製剤未治療患者ではベドリズマブ投与割合が高く、ウステキヌマブ投与患者では生物学的製剤既治療者が大多数を占めた。有害事象発生率はベドリズマブ群6.6%、ウステキヌマブ群10%であった。
結論:ウステキヌマブおよびベドリズマブは、PIBDにおいて6か月および1年後の臨床的寛解達成において安全かつ有効である。比較有効性臨床試験が必要である。
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