三次医療機関における小児副鼻腔腫瘍の回顧的研究
DOI:10.12659/AJCR.948494
アブストラクト
背景 小児副鼻腔腫瘍は稀であり、小児頭頸部腫瘍全体の約4%を占める。鼻閉、鼻出血、顔面痛などの非特異的症状のため、診断が困難な場合が多く、治療の遅延を招く。臨床転帰を最適化するには、早期かつ正確な診断が極めて重要である。症例報告 サウジアラビアの三次医療機関において副鼻腔腫瘍と診断された小児患者4例の症例報告を遡及的に検討した。本症例群には、骨腫および若年性鼻咽頭血管線維腫の2例の良性腫瘍と、NK/T細胞リンパ腫および横紋筋肉腫の2例の悪性腫瘍が含まれる。診断検査には鼻内視鏡検査、CT、MRI、PET-CT画像検査を実施し、組織病理学的確認を行った。良性腫瘍は画像誘導下内視鏡的切除により成功裏に治療され、それぞれ2年および5年の経過観察期間中に再発の証拠は認められなかった。一方、悪性腫瘍は多職種連携による化学療法と放射線療法を組み合わせた多角的アプローチを必要とし、治療後は経過観察を継続しながら病状が安定化した。多様な臨床像と複雑な管理は、この患者集団における診断・治療上の課題を浮き彫りにしている。結論 本症例シリーズは、小児副鼻腔腫瘍の管理において早期疑診、包括的画像診断、個別化治療計画の重要性を強調する。選択症例では低侵襲手術技術と術前塞栓術が有効であった。これらの知見は、良性・悪性腫瘍の治療成績を最適化するための多職種連携の役割を強調している。今後の研究では、標準化された診断アルゴリズムの開発と、分子イメージングなどの先進的診断ツールの探索を目指し、小児副鼻腔腫瘍学における早期発見の促進と治療精度の向上を図るべきである。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。
