小児原発性頭蓋内ユーイング肉腫の海綿静脈洞浸潤:制御不能な悪性腫瘍
DOI:10.1007/s00381-025-06943-w
アブストラクト
小児海綿静脈洞ユーイング肉腫(CS-ES)は、原発性頭蓋内ユーイング肉腫の中でも極めて稀で悪性度の高い形態である。原発性頭蓋内ES自体が小児ES全体の1%未満を占め、ESは小児悪性腫瘍全体の1%未満に過ぎない。CS-ESは診断・治療上大きな課題を提示しており、文献報告例は7例のみ、小児患者ではわずか3例である。本症例は2歳男児のCS-ESであり、右眼窩頂部症候群、激しい頭痛、急速な神経学的悪化を主症状として経過した。画像検査では海綿静脈洞内に造影効果を示す均一な腫瘤が認められた。デキサメタゾンによる初期治療にもかかわらず病状は急速に悪化し、交通性水頭症に対する脳室腹腔シャント術およびその後の外科的介入が必要となった。術中所見では、軟らかく中程度の血管性を示す腫瘍が認められ、壊死領域を伴い重要構造物に浸潤していた。組織病理学検査により、CD99およびビメンチン陽性、Ki-67指数高値を伴うユーイング肉腫と確定診断された。急速な病勢進行のため、補助療法を完了する前に患者は死亡した。本症例は、海綿静脈洞の解剖学的難度と腫瘍の急速な進行による介入の限られた時間枠が相まって、小児CS-ESの予後不良性を浮き彫りにした。この稀で致死的な疾患を管理するには、早期の臨床的疑い、迅速な介入、および同時並行的な多職種アプローチが不可欠である。文献レビューは、治療戦略の改善が急務であることを示し、適時かつ効果的な治療を促進するため鑑別診断においてCS-ESを考慮することの重要性を強調している。
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