CASK関連障害の神経発達スペクトラム
DOI:10.1186/s11689-025-09643-3
アブストラクト
背景:病原性CASK変異は、X連鎖性知的障害(XLID)や小頭症を伴う橋小脳低形成症(MICPCH)など、重症度が異なる神経発達障害と関連している。診断例数は増加傾向にあるものの、CASK関連神経発達スペクトラムに関する現在の理解は限定的である。本研究では、CASK関連疾患患者の既報特性を体系的にレビューし、より最近診断された群と比較した。適応能力、運動機能、視覚機能、社会性・情緒・行動特性の範囲に関する定量的情報を提供し、群内関連性を探索した。
方法: 既発表文献からCASK変異を有する151例を同定した。英国拠点の「遺伝性神経発達障害における脳と行動(BINGO)」プロジェクトに、CASK変異を有する31名の小児・若年者を登録した。BINGO参加者の介護者は、特注の病歴質問票と標準化された神経発達測定バッテリーを完了した。
結果:新たに診断されたBINGO CASK関連障害群と既報症例を比較したところ、音調異常、感音性難聴、てんかんの有病率は一致したが、重度/極重度知的障害、MICPCH、視神経萎縮、眼振の有病率は低かった。既報で強調されていなかった頻度の高い困難領域には、睡眠障害と脳性視覚障害(CVI)が含まれた。BINGO CASK関連障害群内では神経発達特性に高度な変動性が認められ、群全体のパターンは他の希少遺伝性疾患で観察されるものと類似していた。BINGO CASK関連群内では、年齢を調整後、てんかんはID重症度と有意に関連していた。MICPCHまたは小頭症のみのサブグループでは適応機能の範囲は同等であったが、MICPCHはより重度の運動障害と関連する可能性が示唆された。
結論:ゲノムワイド診断検査の普及に伴い、CASK関連障害に伴う神経発達特性のスペクトルは拡大しているように見える。CASK変異、脳構造発達、てんかん、神経発達特性間の関係を解明するには、さらなる研究が必要である。
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