症例報告:高インスリン血症小児の栄養管理における食品ベース経腸栄養剤:単一施設後方視的症例シリーズ
DOI:10.3389/fendo.2025.1574093
アブストラクト
背景:高インスリン血症はインスリン分泌の調節異常を特徴とし、通常、空腹時耐糖能の低下と関連する。長期的な高インスリン血症の管理には、血漿グルコース値を正常化するための栄養管理と薬物療法が含まれる。経腸栄養と経口摂取の管理は、小児高インスリン血症の臨床管理戦略において不可欠である。新世代の市販食品ベース経腸栄養剤(FBF)は、再水和食品、全食品タンパク質源、水溶性・不溶性食物繊維の混合物で構成される。目的:高インスリン血症小児の栄養管理における食品ベース経腸栄養剤の耐容性を検討する。
方法:先天性高インスリン血症(CHI)または食後低血糖(PPH)の小児に対する市販FBF(Compleat pediatric, Nestlé Health Science)の処方実態を探る単施設後方視的症例シリーズ。人口統計学的データ、消化器症状、身体計測値、血糖管理指標(GMI%)、低/高血糖発作についてデータを収集した。
結果:8例(CHI 6例、PPH 2例)のデータを収集。平均年齢1.4歳(標準偏差0.4)。全例経腸栄養用胃瘻造設。8例中6例に胃食道逆流症および/または便秘症状管理のためプロトンポンプ阻害薬または便軟化剤を処方。FBF開始後1ヶ月以内に、栄養士は胃腸症状の80%改善を記録した。Dexcom血糖データは6例で利用可能であった。FBF開始6ヶ月後、Dexcom社のデータは5例でGMI%の改善または安定化を示し、6例全てで高血糖エピソードの減少が認められた(カイ二乗検定=5.8, p値=0.02)。FBFを処方された小児は、グルコースポリマーを必要とする可能性が低かった(カイ二乗検定=4.9、p値=0.02)。結論:本後ろ向き症例シリーズは、FBFが高インスリン血症の小児において良好な耐容性を示し、特に胃食道逆流症や便秘症状に関連する高インスリン血症に伴う腸管運動障害を軽減する可能性を示唆している。さらに、FBFはグルコースポリマーへの依存度を低下させ、高血糖発作の可能性を減らす可能性がある。高インスリン血症の小児における血糖コントロールに対するFBFの潜在的な有益な影響を実証するには、より大規模なサンプルサイズと長期の追跡調査が必要である。
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