コミュニケーション障害を有する患者における発作報告の正確性
DOI:10.1016/j.yebeh.2025.110792
アブストラクト
根拠:てんかん患者における発作報告の不正確さはよく知られており、携帯型脳波計(aEEG)による客観的発作と比較して自己申告率は50%未満である。この不正確さの多くは、一部の発作に伴う自己認識の欠如に起因するとされてきたが、発達遅延、言語障害、または神経変性疾患がどの程度寄与しているかは不明である。 これらの患者では、臨床評価と管理は患者自身ではなく、家族や介護者によって報告された発作頻度に基づいて決定される。したがって、この患者群では報告頻度が著しく予測不能となる可能性がある。
方法:2013年1月から2020年2月までに、2歳以上で47時間以上のaEEG検査歴があり、客観的EEGにててんかん所見が認められ、かつ何らかの程度のコミュニケーション障害を有する患者の臨床的・画像的・電気生理学的データを遡及的に検討した。介護者報告の発作頻度は臨床記録から判定し、aEEGによる客観的発作頻度と比較した。
結果:57例(うち18歳未満28例)を同定した。18例は言語障害のみ、31例は認知障害、8例は全般性脳症を呈した。6例を除く全例が携帯型検査時に発作を報告していた。 18例(32%)で発作が確認され、39例(68%)ではEEG上で発作が認められなかった。捕捉された発作数は1回から312回まで幅があった。100回超の発作を示した2例の異常値を除くと、全患者の平均発作数は1.05回(±2.50)であった。 EEGで発作が確認された患者の平均発作回数は3.62(±3.55)回であった。発作を経験した患者の78%は診療所での報告よりも多くの発作を経験し、22%は少ない発作回数を報告した。発作を経験した患者の89%、発作を経験しなかった患者の59%は最終的に報告が不正確と判断された。 研究対象57例中26例(45%)はaEEG中に脳波変化を伴わない事象を示した。この26例中19例(73%)は最終的に報告不正確と判断された。結論:本知見は、aEEG所見が報告された発作頻度と良好な相関を示さないことを示した先行研究を支持するものであり、これはコミュニケーション障害を有する患者においても同様であると考えられる。 さらに、介護者がaEEG検査中に発作を適切に識別している場合でも、診察時の報告頻度が正確であるとは限らない。自己報告手段を改善した前向き研究により、てんかん患者における臨床的に認識される発作と比較したaEEGの精度に関するさらなる知見が得られる可能性がある。
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