非標的尿中オリゴ糖スクリーニングの臨床的有用性
DOI:10.1016/j.ymgme.2025.109267
アブストラクト
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を用いた高分解能尿オリゴ糖スクリーニングは、臨床的に10年間利用可能であり、幅広い疾患の診断支援に用いられてきた。MALDI-TOF MS解析の非標的特性は、その広範な臨床的有用性を可能にしている。 本報告では、リソソーム疾患、先天性糖鎖異常症、グリコーゲン蓄積症など、従来この手法で報告されていなかった複数の疾患における特徴的なプロファイルを提示する。加えて、当研究室における本検査の臨床的性能を検証し、各疾患に対する基本検査性能情報を提供する。 4145の異なる患者検体を用いた合計4445件の分析により、139件の確認陽性および推定陽性結果と16件の偽陽性結果が得られた。 偽陽性率が最も高かった疾患はポンペ病であり、これは人工乳児に見られるオリゴ糖プロファイルと類似していた。MALDI-TOF MSを用いた尿中オリゴ糖スクリーニングの陽性予測値は、全疾患において89.7%であった。研究期間中に検出された16疾患のうち10疾患では、偽陽性結果は発生しなかった。 対象疾患において既知の偽陰性結果は報告されなかった。入手容易な検体を使用し迅速な結果提供が可能なMALDI-TOF MSによる尿中オリゴ糖分析は、リソソーム疾患を示唆する臨床症状を有する患者に対する効果的な初期スクリーニング法である。
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