ヒト皮質内脳波における発作検出のための圧縮対応型共同エントロピー推定
DOI:10.1109/TBME.2025.3563789
アブストラクト
目的:世界人口の1%を占めるてんかん患者のうち、3分の1は薬剤抵抗性てんかんであり、しばしば外科的介入を必要とする。現在のてんかん治療はてんかん専門医による手動レビューに依存しており、評価の迅速化、レビューア間変動の最小化、より高品質で公平な医療提供のため、信頼性の高い定量的脳波検査(qEEG)アプローチが有用である。
方法:発作検出のための潜在的なqEEG手法として、一般的な圧縮アルゴリズムを用いた共同エントロピーの上限推定値である逆圧縮比(ICR)を提案する。本手法は、30名の参加者(成人15名、小児15名、総発作数240以上)を対象とした10kHz皮質内神経生理学的データリポジトリで検証した。
結果:単一電極ICRはF1スコア0.80、精度-再現曲線下面積0.69を達成し、従来のqEEG手法を上回った。多電極ICRは個々の電極の上位2%以内に収まり、電極選択の必要性を排除する可能性を示した。結論:ICRは自動発作検出に有用であり、臨床システムへの統合は広範な臨床的インパクトをもたらす可能性がある。
意義:本臨床研究は、定量的手法において最大規模の連続的・複数日間にわたる皮質内神経電気生理学データを分析した(記録時間2,900時間以上、電極時間42万時間以上、データ量30TB以上)。また生物学的・臨床応用における圧縮ベース多次元推定の初の実証例である。 線形仮定やパラメトリックモデリングを伴わないアンサンブル効果の計算により、ICRは古典的に組み合わせ的に解決困難な高次元共同エントロピー問題に対するモデルフリーな解決策を提供する。その応用範囲はてんかんを超えて、他の生体医用信号処理領域にも拡大する可能性が高い。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。
