脊髄性筋萎縮症の無症状期検出:壊滅的疾患に対する進行中の革命
DOI:10.1016/j.neurol.2025.08.005
アブストラクト
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、運動ニューロンの進行性変性を特徴とする常染色体劣性遺伝疾患であり、従来は多くの症例で治療なしに重度の運動障害と早期死亡を招いていた。 近年、3種類の疾患修飾治療が患者の予後を劇的に変え、特に無症状期に開始した場合に顕著な効果を示している。本総説では、変革的治療時代におけるSMAの無症状期検出に関する科学的根拠、実践的意義、ならびに倫理的・経済的・政治的考察を検討する。SMAの早期発見・早期治療の必要性から、新生児スクリーニングプログラムの実施が推進されてきた。 全ての臨床試験と実臨床調査は、この戦略が患者にもたらす明らかな利益を一貫して実証している。このDNAベースの新生児スクリーニング法と遺伝子関連治療の組み合わせは新たなパラダイムを確立し、医療システムの構築に課題をもたらした。この戦略は不確実性の管理に関する倫理的疑問を提起しているが、長期的な経過観察と保護者への透明性のある情報提供によって克服されるべきである。 費用対効果研究では、SMA新生児スクリーニング戦略が症状発現後の治療よりも常に優位であることが示されている。SMA新生児スクリーニングを支持する説得力のある証拠が蓄積されているにもかかわらず、体系的なルーチンプログラムの実施は多くの場合で政治的障壁に直面しており、EU諸国ですら未だ効果的とは言えない。SMA新生児スクリーニングの経験は、今後のゲノム新生児スクリーニングに有益となるだろう。
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