ヌーナン症候群における神経発達障害および精神疾患の有病率:系統的レビューとメタ分析
DOI:10.1007/s00431-025-06648-x
アブストラクト
ヌーナン症候群(NS)はRAS病変の一種であり、RAS/MAPKシグナル伝達経路の異常によって引き起こされる遺伝性疾患群である。知的発達障害(IDD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、てんかん、うつ病および不安障害を含む脳関連障害と関連している。しかし、これまでの有病率の推定値には大きなばらつきがある。 本システマティックレビューおよびメタアナリシスの目的は、NSにおける脳関連障害(すなわちIDD、ASD、ADHD、てんかん、うつ病および不安障害)の有病率を推定することである。Medline、Scopus、Web of Science、コクラン・ライブラリを創刊時から2025年7月まで系統的に検索した。 NS患者集団におけるIDD、ASD、ADHD、てんかん、うつ病および不安障害の有病率を推定した研究を対象とした。可能な場合には遺伝子型を考慮した。有病率(0-1の割合)とその95%信頼区間(95% CI)について、ランダム効果モデルによるメタアナリシスを実施した。系統的レビューには21件の研究が、メタアナリシスには20件の研究が組み入れられた。 IDD有病率は0.23(95% CI: 0.12, 0.35)、ASD有病率は0.11(95% CI: 0.05, 0.17)、ADHD有病率は0.31(95% CI: 0.22, 0.41)、 てんかんの有病率は0.09(95% CI: 0.03, 0.15)、うつ病および不安障害の有病率は0.23(95% CI: 0.08, 0.39)であった。特にマイナー変異については、遺伝子型特異的なデータはほとんど存在しなかった。ヌーナン症候群は脳関連疾患と強く関連しており、この集団における早期かつ定期的なスクリーニングの必要性を裏付けている。 さらに、遺伝子型と表現型の相関研究が必要である。この分野における証拠は現在ほとんど存在しない。既知の情報:• ヌーナン症候群は、低身長、心臓疾患、脳関連障害を特徴とするRAS病変である。• 脳関連障害には、知的発達障害(IDD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)などが含まれる。 新たな知見:• IDD、ASD、ADHDの罹患率はそれぞれ23%、11%、31%と推定され、一般集団の有病率を上回った。• てんかん性障害および情緒障害の有病率も高かったが、証拠はより限定的であった。
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