内視鏡下第三脳室開窓術中の基底動脈損傷を小児は生存可能か?症例に基づく検討
DOI:10.1007/s00381-025-07090-y
アブストラクト
背景:内視鏡下第三脳室開窓術(ETV)は、シャント留置に代わる選択肢として、閉塞性水頭症治療の基盤となっている。安全とされているものの、稀な血管損傷(特に脳底動脈関連)は致命的な合併症を引き起こしうる。これらの病変は初期段階では無症状のまま経過し、偽動脈瘤の診断遅延を招く可能性がある。
方法:ETVおよび腫瘍生検後に生じた小児基底動脈偽動脈瘤の症例を報告するとともに、ETV後の主要血管損傷の発生率、診断戦略、管理、転帰に関する文献レビューを行う。
結果:術中出血は手術中に制御され、術後早期経過は一見順調であったにもかかわらず、患者は脳底動脈偽動脈瘤を発症し、コイル塞栓術により成功裏に治療された。文献レビューは、術後経過が安定しているように見えても偽動脈瘤が形成される可能性を示しており、術中大量出血が発生した場合の早期血管画像検査の必要性を裏付けている。
結論:すべての術中出血が直ちに血管造影を必要とするわけではないが、持続的洗浄を要する大量の制御困難な動脈性出血は常に血管損傷を疑うべきである。初回血管造影が陰性であっても、血管攣縮や遅発性仮性動脈瘤形成により初期所見が不明瞭となる可能性があるため、10~15日以内の再評価が不可欠である。このリスクを認識することで、致命的な再出血を予防し、患者の予後を改善できる。
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