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学会レポート・取材

(20/11/7、8)第52回日本小児感染症学会総会・学術集会

COVID-19流行期における大学病院小児感染症医の役割
(新潟大学大学院 医歯学総合研究科 小児科学分野 相澤 悠太 先生)

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2020年11月7日、8日で行われた「第52回日本小児感染症学会総会・学術集会」での緊急シンポジウム2「新型コロナウイルス感染症-パンデミック下の小児科医」について、今回は新潟大学大学院 医歯学総合研究科 小児科学分野 相澤 悠太先生が発表された「COVID-19流行期における大学病院小児感染症医の役割」についてレポートする。

小児のCOVID-19の実情

国内におけるCOVID-19感染者全体のうち20歳未満は2.6%、10歳未満は0.9%にとどまり(2020年7月7日時点)、小児の95%が無症状から軽症・中等症にとどまる。重症化のリスクがあるのは乳児及び基礎疾患を持つ児あり、米国の報告によれば基礎疾患を有する児の割合は外来の12%に対し入院患者で77%であった。また、北米のPICU入室者の報告では83%に基礎疾患が認められた。

大学病院の小児感染症医の活動に関する調査

大学病院は市中病院と機能・役割が異なり、COVID-19への対応に関する市中病院との活動の違いを明らかにするために後方視的に検討を行った。新潟大学歯学部総合病院小児科の小児感染医2名について、COVID-19流行開始期から2020年5月末までの活動を振り返り、以下の6つに分類してそれぞれ検討を行った。

[1]大学病院内の感染管理

院内の感染管理マニュアルについて、外来・病棟・NICU・救急外来での小児患者への対応を提言し、決定に関与した。また、COVID-19疑いの小児への対応について他の科からコンサルテーションを受けた。

大学病院で管理する小児患者は基礎疾患を有する患者がほとんどであり、感染管理に細心の注意が必要であるが、病院では大半を占める成人の重症者を中心とした感染管理規則や病棟の再編成が進められた。その中で、病院としての一貫性を持った対応を維持しつつ小児ならではの配慮・検討事項を加えることに苦慮した。

[2]関連病院への外来出張時の感染対策

小児COVID-19の大部分は軽症であり、大学病院外の診療の方がウイルス曝露のリスクは高いが、常勤小児医不在の病院では小児科外来での感染管理規定は存在しないことがほとんどであった。出張医師が濃厚接触者となり、ウイルスを持ち帰らないように眼の防護具を医局で購入し、全員に配布した。

[3]関連病院の感染管理マニュアル作成支援

関連病院の設備・実情に合わせた感染管理マニュアルの作成を支援した他、常勤小児医不在の二次病院でCOVID-19疑い患児の診療フローチャートの作成を行った。

[4]新潟県内の小児医療体制への関与

小児医療体制調整会議の企画に携わり、他の3次病院の医師らと共に議論を行うことで、県全体として一貫性を持って小児のCOVID-19に対応できるよう連携を図った。また、県専門家会議の一員として行政の意思決定を支援した。

[5]新潟市内の予防接種差し控えの調査

神奈川県川崎市で見られた予防接種差し控えの動きが新潟でもあったのか調査するため、新潟市保健所からデータ提供を受け、調査を進めている。ワクチンで予防できる病気への取り組みが後退しないよう注視していく。

2021.2.22 追記:新型コロナウイルス感染症流行時における小児への予防接種について(日本小児科学会)

[6]マスコミへの情報提供

新聞・テレビなどで小児のCOVID-19に対する適切な情報提供を行った。

上記以外の事項として、若手小児科医への教育や、オンラインを利用した医学生の病棟実習も実施した。

考察

COVID-19は2009年のインフルエンザAとは異質の新興感染症で、小児においては重症患者が短時間で多数発生することはないが、感染管理に対する十分な配慮が必要であり、ロジスティックに力を注ぐ必要がある点に特徴がある。

大学病院の小児感染症医の活動範囲は院内にとどまらず院外にも及び、活動内容として医療体制の調整、予防接種の実施状況の調査も含まれ、活動内容も多岐にわたった。

COVID-19流行により小児感染症医の重要性が再認識されている。

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