導入: クレアチンキナーゼ(CK)値の上昇は、筋損傷の主要な指標であり、特に先天性代謝異常症(IMDs)を含む小児疾患の鑑別診断に広く用いられています。しかし、CK値の上昇の変動性と標準化された診断閾値の欠如が、臨床的な解釈を困難にしています。本研究の目的は、CK値の診断的有用性をIMDsと他の原因を区別するために評価し、IMDsの早期認識を促進する臨床的および生化学的なパターンを同定することです。 方法:代謝クリニックを受診した小児患者1,660例を後方視的に分析し、CK測定値を有する320例(19.3%)を抽出しました。そのうち、CK値が上昇していた患者(>171 U/L)は99例(30.9%)でした。これらの患者は、特発性、IMDと診断された群、その他の疾患の3つの診断群に分類されました。「特発性」は確定診断のない症例を指します。生化学的パラメーター(CK、AST、LDH)を比較し、受容者操作特性(ROC)解析を実施しました。結果:13例(15.1%)がIMDと診断されました。IMD群は特発性群と比較してCKおよびAST値が有意に高値でした(p<0.05)。ROC解析では、IMDの検出にCKカットオフ値617.5 U/Lが感度61.5%、特異度88.0%を示しました。しかし、CK単独では他の疾患と特発性症例を効果的に区別できませんでした。正確な診断には、高度な代謝検査と総合的な臨床評価が不可欠です。 結論:CK値は有用な初期診断情報を提供しますが、信頼性の高い診断には高度な代謝検査と臨床所見との併せて解釈する必要があります。本研究は、小児患者におけるCK値の上昇を評価する際の多職種連携の重要性を強調し、診断経路の最適化に向けたさらなる研究を呼びかけています。
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