はじめに:ヒトパピローマウイルス(HPV)感染は自己免疫プロセスに関与していることが示唆されているが、HPVワクチン接種の潜在的な自己免疫リスクについては懸念が残る。若年性特発性関節炎(JIA)は小児期に発症する慢性自己免疫疾患である。HPVワクチン接種とJIA発症との関連性は依然として不明確である。方法:TriNetX米国共同ネットワークのデータを用いた後ろ向きコホート研究を実施した。対象は9~13歳の女性であった。3つの解析を実施:(1)HPV4ワクチン接種群と未接種群のマッチングコホート比較、(2)抗核抗体陽性者を除外した厳密な比較、(3)HPV4ワクチンの単回接種群と複数回接種群の比較。傾向スコアマッチングおよびCox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 結果:分析1(n=55,257組)および分析2(n=53,827組)において、HPV4ワクチン接種群は接種後12~36ヶ月でJIA発症率が有意に低下した(HR範囲:0.33-0.52)。分析3(n=20,822組)では、単回接種と複数回接種間でJIAリスクの差は認められなかった。早期発症JIA(HPV4ワクチン接種後6ヶ月未満)では一貫性のない傾向が示され、限定的な予防効果の兆候のみが認められた。 結論:本研究結果は、HPV4ワクチン接種がJIAリスク増加と関連しないことを示唆する。むしろ、接種は6~12カ月後に観察可能で少なくとも3年間持続する新規発症JIAに対する長期的な保護効果をもたらす可能性がある。これらの知見は、思春期におけるHPV4ワクチンの安全性と免疫調節効果の可能性を支持するものである。
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